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Re: 長音表記への移行について


松澤です。

2011年7月28日11:15 Takayuki KUSANO <AE5T-KSN@xxxxxxxxxxxxxxx>:
> 草野です。
>
>> * 時期について
>> 「次の GNOME のリリースから」というのは、
>> 3.2がリリースされた時点で長音付与作業が済んでいる、という意図であっていますか?
>> 3.2がリリースされてから順次付与していくということではありませんね。
>> どちらでもかまいませんが、作業負荷も変わってくるので、念のための確認です。
>
> 3.2 で完了、といきたいところですが、私自身の負荷が 3.2 のリリースに
> 間に合うかどうか不透明なので 主要モジュールで目立つところについては
> 完了したい、というところでどうでしょう。
> (恣意的な判断になりますが)

そうですね、優先度を付けて出来るところから順次やっていくということになるでしょうね。
方針や対訳表がある程度でき上がれば、修正だけならまとめて機械的にできるでしょうが、
実際にUIの確認なども必要性も考慮すると、それなりに人力作業は必要になるでしょうね。

ということで、3.2まであまり時間もなくある程度足を速める必要はあろうかと思いますが、
とりあえず大筋としては、
「外来語の表記」(平成三年六月二十八日 内閣告示第二号)などに基づいて、長音符号を付与する、
という方向性でよろしいでしょうか?
現時点で長音付与にかんして見えているものとしては、
* GNOME翻訳チームとして、長音付けようという積極的な賛成はある。
* 長音付けないようにしよう、という積極的な反対はない。
* ルール決めるなら(どっちでも)それでかまわないという意見はある。
ということは言えると思います。

もちろん具体的な付与ルールなど詳細の検討は必要ですが、現在は大枠程度の方向性も明確でないまま何となく付与する方向でずるずる来てしまっているので、そこははっきりさせときたいかなと思います。



====
以下は、(ちゃんと調べたわけでもなく)参考程度ですが、
長音符号を付与するメリットについては、以下の点などがよく挙げられます [1][2][3]。
* ユーザーの多くが長音付与の方が自然だと感じている。
* アクセシビリティーの確保につながる。たとえばスクリーンリーダーなどでより自然な発音になる。

一方、省略するメリットの方はあまり見つけられなかったのですが、以下のようなものがあるでしょう。
* リソースの節約ができる
 (GNOMEならさしづめ画面幅でしょうか。赤星さんも触れられていますが、1文字に苦しむこともあるかもしれません)
* 過去の遺産
 (少なくともMSなどメジャーな環境で、かつて長音無しが幅を利かせていたという歴史があります)

ちゃんと時間とって調べれば、もっと色々見えてくるのでしょうが、
長音付与は、ユーザーにとっても都合が良いらしいですし案としては有りなのではないでしょうか。


それと、肝心のよく典拠とされる、内閣告示「外来語の表記」、およびJIS Z8301をあらためて見てみました。
以下、それぞれ長音表記に関連する箇所を引用してみます (詳細を知りたい場合は原典にあたってください)。

●「外来語の表記」(平成三年六月二十八日 内閣告示第二号) [4]
>>>>>>>>
3 長音は,原則として長音符号「ー」を用いて書く。
〔例〕 エネルギー オーバーコート グループ ゲーム ショー テーブル パーティー ウェールズ(地) ポーランド(地) ローマ(地)
ゲーテ(人) ニュートン(人)

注1 長音符号の代わりに母音字を添えて書く慣用もある。
〔例〕 バレエ(舞踊) ミイラ

注2 「エー」「オー」と書かず,「エイ」「オウ」と書くような慣用のある場合は,それによる。
〔例〕 エイト ペイント レイアウト スペイン(地) ケインズ(人) サラダボウル ボウリング(球技)

注3 英語の語末の‐er, ‐or,
‐arなどに当たるものは,原則としてア列の長音とし長音符号「ー」を用いて書き表す。ただし,慣用に応じて「ー」を省くことができる。
〔例〕 エレベーター ギター コンピューター マフラー
エレベータ コンピュータ スリッパ
<<<<<<<<


● JISZ8301:2008 規格票の様式及び作成方法
>>>>>>>>
G6.2 外来語の表記
G.6.2.1 一般
外来語の表記は、主として"外来語の表記(平成3.6.28 内閣告示第二号)"による。
(後略)

G.6.2.2 英語の語尾に対応する長音符号の扱い
英語の語尾に対応する長音符号の扱いは、通常、次による。
なお、英語の語末の -er, -or, -ar などは、ア列の長音とし、長音符号を用いて表すものにあたるとみなす。
a) 専門分野の用語の表記による。
 注記 学術用語においては、原語(特に英語)のつづりのおわりの -er, -or,
-arなどを仮名書きにする場合に、長音符号を付けるか、付けないかについて厳格に一定にすることは困難であると認め、各用語集の表記をそれぞれの専門分野の標準とするが、長音符号は、用いても略しても誤りでないことにしている。

b) 規格の用語及び学術用語にない用語の語尾に付ける長音符号は、表G.3による。
 表G.3-外来語の表記に語尾の長音符号を省く場合の原則 (引用者注:文末の括弧は例)
 a) その言葉が3音以上の場合には、語尾に長音符号を付けない。(エレベータ (elevator))
 b) その言葉が2音以下の場合には、語尾に長音符号を付ける。(カー(car)、カバー(cover))
 c) 複合の語は、それぞれの成分語について、上記a)又はb)を適用する。(モータカー(motor car))
 d) 上記a)~c)による場合で、長音符号を書き表す音(例1)、はねる音(例2)、及びつまる音(例3)は、それぞれ1音と認め、よう(拗)音(例4)は1音と認めない。(1
テーパ(taper)、2 ダンパ(damper)、3 ニッパ(nipper) 4 シャワー(shower))
<<<<<<<<


JISは、(書き方がちょっとまどろっこしくていまいち掴みづらいのですが)
* 一般則として、内閣告示「外来語の表記」に基づく。
* 長音を省く場合、そのルールを提示している
ということはわかります。

なので、よく言われる「JIS(長音省略) VS 内閣告示(長音付与)」という構図は、あまり的を射たものではないでしょう。
結局、内閣告示に基づいて長音を付与するというのは、別にJISの方針に反するというほどでもありませんし、方向性としてはありでしょう。


[1] http://www.jtca.org/ai_collaboration/katakana_wg/katakana_guide.pdf
[2] http://www.jtca.org/ai_collaboration/katakana_wg/katakana_enq2003.pdf
[3] http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3491
[4] http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/k19910628002/k19910628002.html


だらだらと、申し訳ありません。

-- 
Jiro Matsuzawa
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